不思議なやさい(アニメ絵コンテ版)
〈プロローグ〉
21世紀の 子供たち、
好き嫌いを していないでしょうか?
広い畑に ジャガイモやニンジン、玉ねぎ、
ズッキーニ、ピーマン、トマト、スイートコーンなどの
おいしいやさいがたくさんとれたりするのは、
地球が健康だからなのです。
地球の自然が いつまでも健康であり続けるように
みんなで 環境を守ってゆきましょうね。
それでは『不思議なやさい』 をごゆっくりごらんください。
1
今は 22世紀。
50年前、5つの星が戦い合った宇宙戦争のおかげで
地球上の空気は汚れ、野山は枯れ、川の水も汚れ、
やさいや木の実などを大地で育てることが
出来なくなっていました。
2
とある国のある町に
「超食やさい栽培研究所」がありました。
研究所のまわりには、
テニスコートのような広場が たくさんありました。
これは、21世紀まで 世界中の野山に
あたりまえのように あった畑なのです。
日本生まれの天才博士のズッキーニ所長は、
来る日も来る日も
ひと粒の種で大勢の人々の食糧になる野菜の
発明に一生懸命でした。
3
「おじいちゃーん、こんにちはー」
「おじいちゃーん、きたよー」
元気な女の子と男の子の声がします。
ハナちゃんと ショー君は
夏休みを利用して、日本からやってきました。
「おお、ハナちゃん、ショー君じゃないかー
遠い遠い 日本からよく来たね」
ズッキーニ所長は
久し振りに可愛い孫たちに会えて大喜びです。
もちろん、ハナちゃんもショー君も大喜び。
4
「おじいちゃん、ここは なんなの?」
ショー君は 聞きました。
「分からないのも 無理はない。これは、畑なんだよ。
わたしが子どもの頃は、
夏になると、こうした畑から ジャガイモやニンジン、
玉ねぎ、ズッキーニ、ピーマン、トマト、スイートコーンなどの
おいしいやさいがたくさんとれたんだよ。
いろいろ、食べたなあ」と、
ズッキーニ所長は 懐かしそうに話します。
ハナちゃんは、びっくりして聞きました。
「やさいって、なあに?」
「ジャガイモ」や「ニンジン」とは どんなものなのか
22世紀の子供の ハナちゃんや ショー君には
不思議なお話にしか 思えませんでした。
5
なにしろ、ハナちゃん や ショー君は
食事は 錠剤という 薬のような形の食物しか
知らないのです。
食べ物に いろいろな形や匂いなどが
あることさえも 分からないのです。
「ははは、論より証拠。
これから見せてあげるよ」
ズッキーニ所長は ポケットから
『緑のカプセル』を取り出して
中から 豆粒のような「種」を手に出して、
畑に ポーン、ポーンと播き始めました。
6
「“論より証拠” って なあに?」
22世紀の子供、ハナちゃんやショー君には
おじいちゃんのお話は 不思議なことばかりです。
「ははは “お話よりも見てご覧”という意味だよ」
と話しました。
畑にと播かれた「種」は、
シューシュー と音をたてて
みるみるうちに 土のなかで
大きくふくらんでゆきました。
7
黄金色の丸い玉のようなものや、
土色のでこぼこした石ころのようなものや、
赤い細長い棒のようなものなどが
広場の中の あちこちに出てきました。
「ワーッ、いったい どうなるの?」
ハナちゃんは 畑を穴の開くほど見つめました。
8
この時、ショー君は
緑のカプセルからこぼれた
《緑の種》を ひょいと拾い
口の中へ ポイッ と入れてしまいました。
9
ショー君の身体が みるみるうちに
10倍 20倍の大きさになっていくではありませんか。
「ウワーッ! ボクって、だいじょうぶ!助けてー」
10
「なんということだー! ショー君!
《緑の種》を 飲み込んだのだね!」
ズッキーニ所長 は驚きました。
ズッキーニ所長は
今度は、『赤いカプセル』を取り出して
ショー君の口を目がけて
«赤い種»を投げ込みました。
11
すると、ショー君の身体が
どんどん縮んでゆくのでした。
「ははは これは«プラスマイナスゼロ»という
という名前の種で、どんなものでも元の状態に
戻してしまう薬なんだよ。
ははは 良かった良かった」
ズッキーニ所長は ホッとしました。
12
「ああ びっくりしたー。
もう日本に帰れないかと思ったよー、
おじいちゃん!」と、ショー君はひと安心。
ハナちゃんも 「良かったね ショー君」と
抱き合って 喜びました。
はは 良かった良かった」
ズッキーニ所長は ホッとしました。
13
「驚かせてごめんよ。
50年前の子供たちの中には、
好き嫌いをして、ピーマンやニンジンなどを
食べない子供もたくさんいたんだよ。
今考えると、とても もったいない話だよねえ」
と、ズッキーニ所長は
懐かしいのか 悲しいのか
とても複雑な顔をしていました。
「ふ~ん。ぼくなら好き嫌いはしないよ!」
「21世紀の子供って、いろいろなものを
食べることができたのね」
と、ハナちゃん と ショー君は 言いました。
14
このお話を聞いている
21世紀の 子供たち、
好き嫌いを していないでしょうか?
広い畑に ジャガイモやニンジン、玉ねぎ、
ズッキーニ、ピーマン、トマト、スイートコーンなどの
おいしいやさいがたくさんとれたりするのは、
地球が健康だからなのです。
地球の自然が いつまでも健康であり続けるように
みんなで 環境を守ってゆきましょうね。
おしまい
お話と絵/不思議なやさい製作委員会(㈱朝日アグリ 制作部:佐藤光治)